2017-04-08

Controversial : シャラポワの復帰

Murray : “I think you should really have to work your way back.”
写真:Getty Images Editorial

2016年に禁止薬物メルドニウムドーピング違反で出場停止(約1年3カ月)となっていたWTA Super Star・元世界No.1 のシャラポワ(Maria Sharapova)が4月に復帰することになりました。復帰第一戦は、4月24日から開催のポルシェ・テニス・グランプリ(Porsche Tennis Grand Prix, Stuttgart、ドイツ、レッドクレー、プレミア)。テニス界においてシャラポワのようなスター選手が戻ってきてくれることは喜ばしいことですが、実は今回の復帰には賛否両論が出ています。具体的には、ドーピング違反で出場停止を食らった選手が、ワイルドカード(WC)で復帰するのはいかがなものかと思っている人がたくさんいます。確かに、ドーピング違反などではなく、怪我などの理由で復帰する選手に与えるWCとは意味合いが違いますから、マレーの言葉のように、他の選手から反感や不公平を感じるのもわかります。また、これだけテニス界がAnti-Dopingに力を入れているのに、DoperにWCを与えるのはいかがなものかと思うのも無理はないと思います。

賛否両論でしょうが、WC付与には賛成です。

管理人的には、WCが問題ではなく「出場停止期間」が短すぎるのではないかと思っています。シャラポワのケースは、出場停止期間は結局1年3ヶ月程度で9カ月も短縮されました。1年3ヶ月は、正直短すぎると思います。今後Doperを出さないためにもっと罰則を厳格にするべきです。


さて、WC付与についてです。

改めて、WCの意味を考えてみました。

Wikipedia によると、「ワイルドカード(wild card、WC)は、大会の出場選手は世界ランキングにより決められるが、ランキングが足りない選手を数人ワイルドカード(主催者推薦)で出場させることができる。地元の若手選手や故障明けの人気選手に使用されることが多い。2001年ウィンブルドン選手権ゴラン・イワニセビッチが唯一のワイルドカードによる出場で4大大会のシングルス優勝を達成している。」


上記説明から、ワイルドカードは地元の若手選手や故障明けの人気選手に使用されることが多いですが、ドーピング違反で出場停止の罰則を受けた選手にWC付与禁止というルールは存在せず、あくまで主催者の判断に委ねられることになります。なので、今回の賛否両論が出ているのは、主に感情論によるものだと思われます。


メリットがあるから「シャラポワ」にWCを与える

写真:Getty Images Editorial

・スーパースター選手なので商業的に大会が盛り上がる(ビジネス)
・WCをどんどんもらうことで、早くランキングを上げることができる(彼女自身、対戦相手選手)
・WCをもらうことで、予選の段階で予選組が彼女と当たらなくて済む(他の選手)
・WCをもらうことで、ITF大会などで出だしの若手選手などが彼女と当たらなくて済む(他の選手)

ざっくりですが、上記のように、実はいろいろな立場の人にとってメリットがあると考えています。管理人は、シャラポワのような、「華があってとてつもなく強い選手」にはWCを与えたほうがみな(大多数の人)にとってプラスではないかと思っています。また、テニスはあくまでビジネスで、選手は賞金やスポンサーによって支えられていますのでビジネス抜きでは考えられません。

スーパースターにはWCを与えるべき
写真:Getty Images Editorial

去年、ATP Super Starのデルポトロの怪我からの復帰がいい例です。300万人のtwitterフォロワーの数からもわかるように、"One of the Most Popular Tennis Player in the World” や“The most Beloved Man in Tennis”と称されるデルポトロにWCを与えなければどうなっていたのでしょう。人気度はフェデラーと並ぶと言われています。実力的にも元世界No.4で元グランドスラムチャンピオンのデルポトロは、まさにWTA界のシャラポワです。つまり、「華があってとてつもなく強い」スーパースター選手なのです。

スーパースターは誰でもなれるわけではない。
写真:Getty Images Editorial

当たり前ですが、スーパースターには、それなりの努力をしてきた選手達しかなれないのです。もちろんルックスもありますが、ルックスがいいだけの選手が必ずしもスーパースターになれるわけではありません。テニスはあくまでスポーツなので、スーパースターになるには「テニスの実力」が一番大きな要素ではないでしょうか。

スーパースター選手はテニス界に大いに貢献している。
写真:Getty Images Editorial

まず、スーパースター選手の存在によりテニス界のレベルが上がります。そして、観客を魅了します。例えば、デルポトロが出場するとチケットがどんどん売れますし、大会が盛り上がります。大会が盛り上がることで大会が増えて、賞金が増える可能性もあるわけです。最近early roundsの選手が生活できるように賞金を上げる傾向が増えてきていますが、賞金の源はチケット代やスポンサーからきているので、スーパースターがどんどん出場することによって最終的にテニス界にとって大きくプラスになります。

デルポトロがもしWCをもらえなかったら…

デルポトロがもし、WCをもらえなかったら、ランキング1042位からATP大会の予選やチャレンジャー大会などに出場して、自力で這い上がるしかなかったと思います。まぁ、デルポレベルの選手なので這い上がるほどの実力はあると思いますが、1042位からWCなしで彼の実力に伴うランキングに戻れるのは少なくとも2年位が必要ではないかと。


...迷惑ノーシードが長期化したのでしょう。

その間、予選やチャレンジャー大会でデルポトロと当たる選手にとって、迷惑極まりないことだったのでしょう。ただでさえ苦しいと思う予選組や出だし若手にとって、予選やチャレンジャー大会でいきなりデルポトロのような強豪と当たらなければならないと考えるとたまったもんじゃないですよね。

結果的には、去年ワイルドカードが6枚与えられたことで、デルポトロの「迷惑ノーシード」期間を短縮できたではなかったのでしょうか。
写真:Getty Images Editorial



この世には100%公平性なんて存在しない


以上長文になってしまいしましたが、まとめますと、シャラポワは正当な理由で戻ってきますし、100%公平性なんてないわけで、WCを与えようが与えまいが、皆がハッピーになることはあり得ないことですから、「大多数」にとってメリットがあるのであればWCは与えるべき。ただし、無制限に与えるのではなく回数など制限を設ける必要があると考えています。




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