2018-03-29

UNSTOPPABLE DELPO : デルポ、15連勝中!






マイアミオープン(ハード、MS1000、アメリカ)ー この日男子シングルズ準々決勝が行われ、デルポトロは2時間52分に及ぶ激闘の末、ラオニッチを5-7、7-6、7-6で破り2009年以来の準決勝へ進出を決めた。準決勝では、地元のイズナー(John Isner)と対戦する。

ラオニッチの完全復活

デルポトロとラオニッチは10日前のインディアンウエルズ大会(ATP MS1000)のSFでも対戦し、その時のデルポトロは6-2、6-3でラオニッチを圧倒しました。しかし、今日のラオニッチはまったく別人で本来強いラオニッチがカムバックしました。第2セットの中盤までラオニッチ優勢だと思っていましたが、そこからデルポトロに勢いがもどり何とか凌いでタイブレークへ持ち堪えた。タイブレークでは、いつもの強いデルポトロが制しました。第3セットに入り、序盤はお互いキープできずブレーク合戦が続いていましたが、中盤から集中力が戻り、このセットもタイブレークへ。タイブレークでは、またもデルポトロが制しました。2時間52分という長い長い試合でした。ラオニッチにとって、今日は負けはしましたが、今日のパフォーマンスは完全復活と言っていいでしょう。
Wimbledonが楽しみです。

デルポはとにかくタイブレークが強い!

以下のCareer Tie-Break win/loss indexより、タイブレークの勝率(現役選手)が最も高いのはフェデラー(65.2%)です。ナダルを除くBIG4とイズナー、ラオニッチがTOP 5を占めています。一方、デルポトロは9位(58%)にランクインしています。このランキングからビッグサーバーはやはり有利ということが言えそうです。しかし、フェデラーやジョコビッチのようなビッグサーバータイプではない選手でもなぜタイブレークの勝率が高いのか。答えは、彼らはテニスが上手いからです。そして、そのテニスの上手さは間違いなく勝負強さからきているのです。

Career Tie-Break win/loss index
1位 フェデラー 65.2%
2位 ジョコビッチ63.2%
3位   マレー63.2%
4位   イズナー61.7%
5位   ラオニッチ61.3%
6位 ナダル60.8%
7位 キリオス59.2%
8位 モンフィス58.8%
9位 デルポトロ58.0%
10位  錦織 57.5%

58% -> 72.4%


最新の52 weeks Tie-Break win/loss indexによれば、デルポトロのタイブレーク勝率は21-8(72.4%)です。この数字はフェデラーの25-8(75.8%)に次ぐ2位です。ちなみに3位はヘヨンチョンの19-8(70.4%)。デルポトロは、元々高いキャリアタイブレーク勝率58%から現在の72.4%(52週)へ、大きく改善しました。最近のデルポトロは、とてもとてもタイブレークが強いのです。そのタイブレーク勝率の強さが今回も勝利の分け目になりました。

デルポトロのタイブレーク勝率の高さは、集中力とメンタルの強さから来ていると思います。フェデラーやチョンにも同じことが言えます。

特にデルポトロは ‘save the best for the last’ タイプでタイブレークが来たら怪物へ変身する場面が良くみられます。これまで鈍かった動きをしていたデルポトロが嘘のように急にピンピンしてきます 笑 また、これまでイライラしていたのが急に落ち着きが戻り賢者モードに変身します 笑

これに困惑した相手からしたら大きなプレッシャになり、ミスしやすくなる場面はよくみられます。相手からすれば、デルポトロの集中力を崩せるのは難しいので、プレイで圧倒するしかありません。自分のギアを最大限まで高めないとまずスーパーデルポトロには勝てません。タイブレーク勝率1位のフェデラーさえ、デルポ相手になるとかなり苦戦します。怪我後のデルポトロよりメンタルが強い選手は他にいるのだろうか。

デルポトロの、鬼メンタルを分けてほしい!

進化したデルポは省エネテニスへ


これについては今度詳しく書きたいですが、今日は少しだけ触れますね 笑 15連勝中のデルポの勝因の一つにずばり省エネテニスに徹した結果だと思っています。省エネテニスとは、簡単にいうとフェデラーのテニスのように、少ないショットで効率良くポイントを稼ぐテニスのこと。今年に入ってからのデルポトロのテニスは間違いなく進化し、省エネテニスへシフトしつつあると思います。そうさせているのは、いうまでもなく、彼のフィジカル問題、手首の痛みです。そんな中バランス良くテニスを続けるには、シグネチャーフォアハンドはもちろん、スライス、ドロップショットやボレーなど小技やネットプレイを増やし、「勝てるテニスから負けないテニス」の戦略へ、とデルポトロは考えたのでしょう。フェデラーとマレーを混ぜたようなスタイルですね。とくに対Nextgenの試合ではその戦略がよく効きます。デルポトロは自分のゲームプランの変化についてこう話しました。

「いまの自分のテニスが好きだ。いまのゲームスタイルでも勝てているからね。昔よりバラエティーがあって、もっとコンプリートなプレイヤーになれたと思う。観客にとってもより面白いゲームになったと思う。もちろん全米優勝をもたらしてくれた昔のスタイルも好きだけど、でもいまの自分には、いま持っているものを使うしかない。そうするしかないから。」

激しく同感です 笑 フィジカル問題にずっとつきまとわれている以上、うまく付き合っていくしかないので、勝てるテニスではなく負けないテニスに徹するのが賢明な戦略だと思います。

確かにいまのデルポトロのゲームは、怪我前のややパターン化していたゲームプランよりバラエティーが追加されて、読みにくくなっているのではないかと思います。2008年からデルポの試合をみてきた感想としては、少年のドカンスタイルからいつの間にかベテランのテニス職人感が日に増している 笑 この10年いろんな進化したデルポが見れてとても良かったと思っています。デルポのキャリアを見ていると、さまざまな逆境を乗り越えられた勇者にはさらなる進化、さらに強くなるというボーナスが与えられることにとても勇気付けられた。同じ手首に三回手術を繰り返してでもテニスがしたい、諦めないデルポのメンタルには脱帽です。

なんか熱く語ってしまいましたが、今日はこの辺にします。笑


次戦、準決勝のデルポトロvsイズナー戦が楽しみです。デルポトロがいまの疲労を克服できるか、大会史上8人目のサンシャインダブル達成なるか、わくわくハラハラです 笑

※写真はすべてGetty Images より




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